株初心者のための株式投資講座株式投資を始める前に株式投資と税金>株式譲渡益課税>一年間の損益を通算するための「益出し」「損出し」の方法と税金

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一年間の損益を通算するための「益出し」「損出し」

株式の譲渡益に対する税金は1月〜12月までの1年間が一つの期間となっています。その間の実現譲渡損益の合計に対して税金が発生します。含み損益は関係ありません。そのため、こうした含み損(含み益)がある株を年末に売買することで意図的に譲渡税について「調整」することが可能です。もちろん合法ですし、問題ありません。

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益出しと損出しの経済的意味

たとえば、1年間にこれまでの売買で200万円の利益が出ているとします。これに対しては2014年以降なら40万円の譲渡税が課せられます。

その一方で、保有している株の中に80万円の含み損を抱えている株があるとします。
このとき、この株を売却したらどうなるでしょう?

1年間の譲渡益が200万円から120万円に減少します。すると納めなければならない税額は40万円から24万円にまで減少します。これをするだけで16万円もの節税が可能になるわけです。

これは損出しのケースです。逆に1年間にわたって損失が出ている場合は、含み益が出ている銘柄を売却することで損を小さくできます。損を小さくすることでの節税効果はありませんが、翌年以降の税金を小さくすることができます。
(ただし、申告をすれば損失は3年間に限り繰り越し可能です。くわしくは「こちら」をご覧ください。)

 

引き続き株を保有したい場合は「クロス取引」を使う

益出しや損出しを行うのはいいけど、その株は引き続き持っていたいというケースもあるでしょう。たとえば、優待銘柄や高配当銘柄などで短期の所有ではなく、中長期で保有しておきたいというようなケースがあります。

しかしながら、益出しや損出しをする場合に、売り注文に自分の買い注文をぶつけることはできません。
なぜなら、売買による損益計算では1日(営業日)単位で計算するからです。
たとえば、平均取得価格800円、現在の価格1000円の株の益出しをするとしましょう。

この場合、1000円で売却し、200円の利益を確定した上で1000円で再購入という形になりますが、損益計算では、{800円(平均取得価格)+1000円(今回の取得価格)}÷2=900円(新取得価格)となり、これを1000円で1株だけ売却したという形になります。

そのため、益出しできる金額は100円になってしまいます。
この点につちて詳しく知りたい方は「株式の取得価格(取得価額)のルール」をご覧ください。

また、自分の注文に自分に注文をぶつける場合「仮装売買」と判断される場合もあります。小規模であれば問題視されることは無いと思いますが、大規模で実施する際は注意が必要です。
(参考:禁止されている株取引

こうせずに200円分の利益を出すためには当日中でなく、翌日以降に買い戻しを行う必要があるのです。その場合は必ずしも同じ金額で買えるわけではないというリスクが伴うことになります。

このような時には「クロス取引」という取引で再度同じ株を取得するようにしましょう。ちなみに、「SBI証券」では、同社を相手方としたクロス取引ができるようになっています。

この場合、SBI証券が相手方となって売買を成立させてくれる形となりますので仮装売買にはあたりません。