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株の平均取得単価|買い増し・売却と端数処理

同じ銘柄を異なる価格で買った場合、売却損益に使う取得単価は、株数を加味した平均で求めます。購入手数料も取得費に含め、税務上の1株当たり金額は1円未満を切り上げます。一部売却した後の買い増しや、特定口座での同日売買では、平均に入れる金額と株数にも注意が必要です。

取引の書類、電卓、ノートと硬貨が並ぶ机
取引記録の購入代金・手数料と、売却後の残株数を照合します。

対象は、日本の個人投資家が課税口座で購入する国内上場株式の現物取引です。以下の買い増し・売却は同じ銘柄・同じ口座の架空例で、株式分割や移管などはないものとします。特定口座は口座ごとに損益を計算するため、別の証券会社の同じ銘柄を一緒に平均しません。

約定単価・平均取得単価・損益の違い

取引画面で混同しやすい金額
金額意味と確認点
約定単価実際に売買が成立した1株の価格。買付手数料を含めた取得単価とは一致しないことがある
税務上の平均取得単価購入代金・購入費用と株数から計算する、売却した株の取得費の基準。1円未満は切り上げる
評価損益保有株の現在価格と取得単価等との差。売却するまでの含み益・含み損で、売却済みの譲渡損益とは別
譲渡損益売却代金から、売却した株の取得費と売却手数料等を差し引いた損益

証券会社によって、保有画面や実現損益画面の単価が小数付きで表示されたり、更新時刻が異なったりします。画面の名称だけで税務上の金額と決めず、その画面の計算条件と特定口座年間取引報告書を確認してください。

購入手数料を含め、1株当たりの端数を切り上げる

購入時の取得費には、株の購入代金のほか、購入手数料とその消費税などを含めます。売却手数料は購入時の取得単価に足さず、売却損益を求める際に別途差し引きます。

たとえば、1,200円で100株を購入し、税込の購入手数料が275円かかったとします。取得費の合計は120,000円+275円=120,275円、1株当たりでは120,275円÷100株=1,202.75円です。税務上の取得単価は切り上げて1,203円となります。275円は仮定した費用で、特定の証券会社の料金ではありません。

端数処理は四捨五入ではありません。608.01円なら609円、端数のない608円なら608円です。小数を途中で切り捨てた単価を株数に掛けると、税務上の取得費と差が出ます。

買い増しの例:600株の平均は608.33円ではなく609円

売却する前に、同じ銘柄を次の3回に分けて購入し、購入・売却の手数料はいずれも0円とします。

株数を加味して取得費を平均する
購入単価購入株数購入代金
650円200株130,000円
550円100株55,000円
600円300株180,000円
合計600株365,000円

平均は365,000円÷600株=608.333…円です。株数の違いを無視して「650円・550円・600円を足して3で割る」計算は使いません。税務上は1円未満を切り上げ、1株609円になります。

その後、600株すべてを650円で売ると、売却代金は390,000円、税務上の取得費は609円×600株=365,400円で、譲渡益は24,600円です。

一方、実際の売却代金と購入代金の差は390,000円−365,000円=25,000円です。この400円の差は、1株当たりの税務上の端数処理によるものです。「資金の出入りの差」と「税務上の譲渡益」を取り違えないようにします。

一部売却後の買い増しは、残った株の取得費から計算する

同じ銘柄を複数回購入した場合、税務上の取得費は「総平均法に準ずる方法」で求めます。前回売却後に残った株の取得費に、その後の購入代金・購入費用を加え、合計株数で割ります。売却済みの株まで、次の平均に再び含めることはありません。

100株を1,000円、別の日に200株を1,300円で購入すると、合計300株・360,000円で平均取得単価は1,200円です。手数料はいずれも0円とします。

一部売却し、後日に買い増した場合
取引損益・残った株の取得費
100株を1,500円で売却売却代金150,000円−取得費120,000円=譲渡益30,000円
売却後の残り200株平均取得単価は1,200円のまま。残株の取得費は240,000円
別の日に100株を1,500円で購入残株の240,000円+購入代金150,000円=390,000円。合計300株なので新しい平均は1,300円

「安く買った100株だけを選んで売った」として、その100株の元の購入価格1,000円を取得単価にする計算ではありません。同一銘柄の平均取得単価を使い、売却した100株分を除いた残額を次の買い増しへ引き継ぎます。

特定口座で同日に売って買い直すと、売却時の単価も変わる

特定口座の国内株式では、同日に同じ銘柄を売買すると、実際には売却が先でも、その日の買付けを先に行ったものとして取得単価を計算します。前日からの保有分と当日のすべての買付けを平均し、その後に当日の売却を反映します。

前日までに平均650円で200株を保有し、当日に200株を700円で売却、その後200株を690円で買い直したとします。手数料はいずれも0円です。

取得単価は(650円×200株+690円×200株)÷400株=670円。売却した200株の譲渡益は(700円−670円)×200株=6,000円で、残った200株の取得単価も670円です。買い直した約定価格690円とは一致しません。

買い直す日が違う場合との比較
買い直し売却した200株の譲渡益買い直し後の200株
同じ日に690円で購入6,000円(取得単価670円)取得単価670円、取得費134,000円
後日に690円で購入10,000円(売却時の取得単価650円)新たな取得単価690円、取得費138,000円

後日の行は、売却日に買付けがなく、その後も690円で買えたと仮定した比較です。実際の将来価格は変動します。売買日を変えると税務上の損益や残株の取得費は変わりますが、それだけで投資全体の利益が増えるわけではありません。

取引直後の画面と、夜間の再計算後で取得単価が変わる場合があります。同日売買をしたときは、証券会社が案内する更新時刻を確認し、再計算後の取引履歴・税額と照合してください。

単価が合わないときに確認する順番

  1. 銘柄と口座区分を合わせる。特定口座・一般口座・NISA、証券会社の違いを確認します。信用取引の建玉やNISAから払い出した株に、現物の通常購入例をそのまま当てはめません。
  2. 購入代金と税込手数料をそろえる。取引報告書などを見て、株数・約定価格・購入費用を確認します。取得費に入れた購入手数料を、売却時にもう一度差し引かないようにします。
  3. 売却日と残株数を追う。一部売却した分を除き、同日売買があればその日の買付けを含めて確認します。
  4. 表示の計算条件と更新時刻を確認する。端数処理、株式分割・併合、移管、相続・贈与などがあれば、証券会社の記録や各制度の取得費を確認します。
  5. 年間取引報告書と照合する。特定口座では、譲渡代金、取得費等、差引損益、源泉徴収税額を確認します。一般口座では取引記録から計算し、不明な取得費を現在の株価などで置き換えず、証券会社や税務署に確認します。

年間取引報告書の「取得費及び譲渡に要した費用の額等」には、売却手数料等も含まれます。その欄の金額を使った後で、同じ売却手数料を重ねて差し引かないでください。

内容確認日・更新日:2026年10月18日。

取得費と口座の取扱いを確認する

国税庁:同一銘柄を複数回購入した場合の取得費 — 総平均法に準ずる方法、残株の引継ぎと1円未満の切り上げ。

国税庁:譲渡した株式等の取得費 — 購入費用の範囲、株式分割・相続・NISAからの移管などの違い。

国税庁:株式等を譲渡したときの課税 — 売却代金から取得費・売却費用を差し引く損益の算式。

国税庁:特定口座制度 — 口座ごとの損益計算と年間取引報告書、源泉徴収の取扱い。

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