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減資と株価

減資とは、資本金を減らす手続きのことで「増資」の対義語となります。一般には経営が悪化した企業などにおいて繰越欠損金を減らす目的で行われます。減資そのものは、たんなる帳簿上の処理であり、BPS(一株あたり純資産)などは不変ですが、多くの場合株式の有利発行などを伴う場合が多く、その場合などは既存株主の持分の希薄化などが起こることがあり、当然株価にも影響します。

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減資のしくみ

減資とは、貸借対照表における「資本金」の額を減少させることを指します。多くの場合は不採算・経営悪化企業などで行われることが多く、基本的に株価には中立です。

例えば、ある会社の貸借対照表が以下のようになっていたとします。

貸借対照表

資産

現金:1000万円

負債

借入:500万円

資本金

資本金:1000万円
繰越損失:△500万円

上記の場合、資本金は1000万円ですが繰越損失があります。これを減資する場合は以下のようになります。

貸借対照表

資産

現金:1000万円

負債

借入:500万円

資本金

資本金:1000万円-500万円=500万円
繰越損失:△500万円+500万円=0

このように、減資は多くの場合過去の繰越損失を清算する形で行われるのが一般的です。

 

減資と既存株主(株価)

減資により株主資本(資本金)は減少しますが、減資だけを見れば、既存株主にとって大きなデメリットはありません。それは減資によっておこるのはあくまでも貸借対照表(バランスシート)における帳簿上の処理に過ぎません。

つまり、減資により名目上の資本金が減少しても、それ以前から繰越損失という形で実質的な純資産は減少していることになるのでなんら代わりがありません。

 

減資により株価はどうなる

基本的に株価は減資に対して中立としましたが、減資はあくまでも帳簿上の処理です。減資と同時に株式併合を行う場合もありますが、この場合も株価には基本的に影響はありません。(株主優待や配当面から多少のマイナスになることはありますが)

一方で、何度も「基本的には」という枕詞を使っていますが、これは多くの場合減資を行う企業は経営が悪化しており、減資を行い繰越損失を一掃した後に、第三者割当増資などを同時に行う場合があるためです。

こうした場合、既存株主にとっては不利な条件で発行されることが多いため、株が希薄化し、株価が下がるケースが多いです。

 

ダイエーのケース(99%減資)

スーパー大手のダイエーは2005年に99%減資を行いました。これは保有株式が100株が1株になるということを意味します。ちなみにこれだけではさきほどの説明の通り何の意味もありません。

ただ、ダイエーの99%減資のケースでは産業再生機構が減資後に第3者割当増資によって既存株主と比較して相当有利な株価で増資を引き受けています(有利発行)。そのため減資前からの株主にとっては相当な「希薄化」が進んだことになります。

こうしたことで、既存株主は一定の責任を取る形となりました。

 

JALのケース(100%減資)

なお、業績が非常に悪い場合などは100%減資といい、既存株主の株をすべて無効にする措置がとられることがあります。この場合は、株自体がゼロになりますので、株式価値はなくなります。(なお、100%減資は証券取引所における上場廃止基準ですので、その後上場廃止となります)
最近の事例ではJALが100%原資となり既存株主は株主責任を取った形となります。

ダイエーの場合は99%減資でその後、産業再生機構等への新株の有利発行によって一定の損失(株価下落)を負うことになりました。一方でJALの場合は、既存株主の株式はすべて減資(ゼロ)になってしまったので、投資額がパーになるというかなり大きな責任を負うこととなりました。

同じような100%原資が2015年にJALと同じ航空会社である「スカイマークエアラインズ」でも実施される予定です。

 

 



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