特買い・特売りとは
特買い・特売りとは「特別気配(とくべつけはい)」と呼ばれる気配の一つで、相場が開いた直後やザラバ中に売りか買いのどちらかの注文が一気に寄せられた場合に行われる措置のことです。通常、相場が開いた直後は板寄せ方式で株価が決定して、寄り付き後はオークション方式(ザラバ寄せ)で株価が決定しますが、売り買いどちらかに注文が殺到した場合は、オークション方式から板寄せ方式に一時的に決済方法が変更されます。
特別気配とは何か?
特別気配とは、通常ザラバにおいては「ザラバ方式」と呼ばれるオークション方式による売買が行われるますが、一度に大量の買い(または売り)注文が殺到すると相場の急激な変動を抑えるために特別気配による「板寄せ方式」への注文の約定方法が変更されます。これを特別気配といいます。
(参考:ザラ場方式と板寄せ方式)
特別気配となっている場合、通常板情報に「特」という表記がされます。これは現在この銘柄が特別気配(特買いまたは特売り)の状態にあることを知らせるものです。
例えば、以下のような特別気配となっている板を考えてみます。現在の株価100円のところに、特別気配が表示されています。買い気配のところに「特」と記載されていますので、特買いという状態です。ちなみに、下記の板の読み方が分からないという方は「板(気配値)の見方」もご参照ください。
売り数量 |
価格 |
買い数量 |
2190000 |
103円 |
- |
10000 |
102円 |
- |
8000 |
101円 |
- |
- |
100円 |
1894000 [特] |
- |
99円 |
8000 |
- |
98円 |
2000000 |
通常のザラバでは、この段階で株価100円に売り注文を出した場合すぐに株価100円で約定しますが、特別気配時は板寄せとなっていますので、すぐには売買成立しません。この場合189万株の買い注文に対応する売りが出てくるまで注文は留保されます。
特別気配となった場合5分間このままの気配が維持されます。5分たっても同上の特別気配(特買い)に対応する売りがない場合、気配が繰り上がります。
売り数量 |
価格 |
買い数量 |
2190000 |
109円 |
- |
10000 |
107円 |
- |
15000 |
106円 |
- |
- |
105円 |
1800000[特] |
- |
100円 |
94000 |
- |
99円 |
8000 |
このように、特別気配は板寄せのため、5分後とに気配が切りあがります。上記の場合、100円から105円に気配がきりあがりました。きりあがったことにより100円での指値注文をしていた注文は100円のところに置き去りにされ、成行注文または105円以上の株価で指値注文している注文が残っています。
これでも板寄せができない場合は、5分後にさらに気配が切り上げられ、板寄せがでいるまで続けられます。(ただし、値幅制限におけるストップ高の水準にまで切り上げられた場合は、そこでストップします)
どういう場合に特別気配となるの?
特別気配(特買い、特売り)になる条件は「更新値幅」と呼ばれる1回の値動きで認められる変動幅の限界を指します。
たとえば、現在の株価(直近の約定価格)が400円の株は更新値幅は上下8円となっています。
この時の板のサンプルを見てみましょう。
売り数量 |
価格 |
買い数量 |
25000 |
416円 |
- |
5000 |
410円 |
- |
- |
400円 |
- |
- |
399円 |
4000 |
- |
396円 |
8000 |
- |
392円 |
2000 |
このとき、成行で3000株の買い注文を出したとします。この注文をそのまま受理した場合、約定価格は410円となってしまいますが、更新値幅いっぱいである408円を超えてしまいます。その時、特別気配となります。具体的には下記のような表示となります。
売り数量 |
価格 |
買い数量 |
25000 |
416円 |
- |
5000 |
410円 |
- |
- |
408円 |
3000 [特] |
- |
399円 |
4000 |
- |
396円 |
8000 |
- |
392円 |
2000 |
このままの状態で更新値幅の上限である408円で注文がでないかを待つことになります。なお、このときは板寄せ方式となっているので、3000株未満の売り注文が出ても売買は成立しません。
その場合は特別気配のままとなります。
このままの状態で5分が経過すると気配が切り上がります。上がり幅は更新値幅(このケースでは+8円)となりますが410円の売りで全株一致することになるので410円で売買が成立することになります。
上記は特買いのケースですが、特売りのケースは逆の形となるわけです。
更新値幅を超えた動きが出る時に、特別気配となるわけですね。そのため、出来高の少ない銘柄(値段が飛びやすい銘柄)にちょっと大きめの注文がでると特別気配となることはよくあります。
特別気配の意義
特別気配は、大口の注文等により株価が大きく変動することを予防するための措置です。こうやって特別気配とすることで、意図的な株価の吊り上げが行われようとしている場合は、売り注文を誘導し、急激な相場変動を予防しているのです。
なお、上記の特買いの状態で取引を終えた場合は、売り注文数<買い注文数となっていますが、売り注文が出ている範囲内で買い注文が処理されます。売買が成立するかどうかは抽選により決定します。これを比例配分と呼びます。
特別気配中でも売買が成立することも。PTS取引を活用しよう
特別気配の時は気配上の株価は動いても取引は成立しません。
ですが、あくまでもそれは「東証などの証券取引所」での話です。
市場外の取引であるPTS市場では株価が付くような場合もあります。現在個人投資家向けには「SBI証券」でPTS取引が時間外でも取引をすることができます。
SBI証券に口座を持っていれば、こうした時でも取引ができる場合があります。
上手に活用しましょう。>>SBI証券の公式ホームページはこちら
特別気配についてここまで説明してきましたが、この特別気配の状態のままで相場が終了することがあります。この場合には、「比例配分」という方法によって売買注文を一部成立させる形となります。
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